超・基本の合言葉(構造力学はこれだけ)
- ① 力は「上下」と「左右」でつり合う(引っ張り合って動かない)
- ② 「回そうとする力」もつり合う(シーソーが傾かない)
- ③ ○(ヒンジ=自由に回る関節)・△(ピン=床に留めた点)では“折り曲げる力”=0
※ 試験全体(72〜82問)のうち、図形・計算で手を動かす問題は毎年6〜8問。残りは知識の正誤判断です。
公式はどれも、もとをたどれば「動かない=力がつり合っている」を式にしただけ。各カードの「🤔 なぜこの式になるの?」で“丸暗記しない覚え方”を説明しています。
1. 反力を求める(梁・ラーメン)
代表問題:令和6年 No.5(3ヒンジ門型ラーメン)
📘 これは何の問題?
柱の足が床から“どれくらいの力で支えられているか”を求める問題。物が動かないのは「押す力」と「支える力」がぴったり打ち消し合っているから。この支える力を反力という。
覚える公式
🤔 なぜこの式になるの? 「動かない」=「力が打ち消し合っている」を、そのまま式にしただけ。引き分けの綱引きでは、右に引く力と左に引く力は必ず同じ大きさ(だから左右の合計0。上下も同じ)。回す力が「力×腕」になるのはシーソーと同じで、同じ体重でも端に座った子ほど強く傾けられるから——中心から遠いほどテコが効く。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 図を見る:足元A・Bは床に留めた点(ピン)。左上の角Cは自由に回る関節(ヒンジ)。柱の高さ4m・横幅8m。Cを右へ4kN・下へ3kNで押している。知りたい支える力は4つ。
- 上下の支え(VB)を出す。A点を回転の中心にしたシーソーで考える。CはAの真上だから、下向き3kNは回す力にならない(腕=0)。右向き4kNは高さ4mぶんだけ回す。これと右の支えVBがつり合う。
A点まわり:VB × 8m = 4kN × 4m
VB = 16 ÷ 8 = 2kN
- もう片方(VA):上下の力の合計=0。下向きの力は3kNだけ。
VA + VB = 3kN → VA = 3 − 2 = 1kN
- 横の支え(HB)は関節Cで“2つに切って”求める。3ヒンジは関節の所で2つのかたまりに分けられる。Cが左上の角なので、Cから右側(梁C→Dと右柱D→B)だけを取り出す。関節は曲げを伝えないので、右側だけで「Cまわりの回転=0」が使える。右側に残っている力は、さっき出したVB=2kNと、知りたいHBだけ。
Cまわり:2kN × 8m + HB × 4m = 0
HB = −16 ÷ 4 = −4kN(マイナス=左向き)
💡 なぜ半分にできるの? つり合って動かないものは、その“どの一部分”もつり合っているから(綱引きの綱をまん中で切っても、両側はそれぞれ止まっている)。切り口にはたらく力を書き足せば、半分だけでつり合いの式が立てられる。関節(ヒンジ)は曲げを伝えないので、そこで切ると式がスッキリする。
答え:横の支える力 |HB| = 4kN
ひっかけ:関節(○)の位置を“梁の中央”と思い込まない(この問題はヒンジが左上隅C)。位置を取り違えると答えが変わる。また、鉛直P2はA点の真上にあるので、A点まわりのモーメントには効かない(腕=0)。
2. 曲げモーメント図(BMD)の見分け方
代表問題:令和4年 No.10(単純梁+等分布+集中荷重)
📘 これは何の問題?
横にわたした棒(梁)が、どこでどれくらい“曲げられているか”を表した図の、正しい形を選ぶ問題。曲げモーメント=棒を曲げようとする力の強さ。
覚えるルール(公式の代わりにこの5つ)
🤔 なぜこのルールになるの? 曲げモーメント図は「棒の各点が、どれだけ強く折り曲げられているか」を棒に沿ってグラフにしたもの。ピンや関節はクルッと自由に回れるので、折り曲げる力をためられない→必ず0。1点をギュッと押すと、その点を境に左右の事情がガラッと変わる→グラフが折れる。広くならして押すと事情が少しずつ変わる→なめらかなカーブになる。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 図を見る:棒A-C-D-E-B(各2m・全8m)。CD間を均一にw=2kN/mで押し、E点を6kNでギュッと押す。両端A・Bが支点。
- 支える力を出す:B点を中心にシーソー計算。均一押しは「合計4kN(2kN/m×2m)が、かたまりのまん中(Bから5m)に効く」とまとめてよい。E点の6kNはBから2m。
Bまわり:RA × 8 = 4kN × 5m + 6kN × 2m = 32
RA = 32 ÷ 8 = 4kN / RB = 10 − 4 = 6kN
- 各点の曲げの大きさを順に出す(曲げ=その点から支点側にある「力×距離」の合計)。
A = 0(支点)
C = 4kN × 2m = 8
D = 4×4 − 4×1 = 12(等分布の押し返し分を引く)
E = 6kN × 2m = 12(近いB側から計算すると早い)
B = 0(支点)
- 点をつなぐ:A→C直線で増える、C→Dは均一押しなのでカーブ、D→E水平、E→B直線で減る。下側にふくらむ“左肩が丸い台形”が正解。
選択肢の図(この中から正しい形を選ぶ)
答え:曲げモーメント図2(CD間がカーブの台形)
ひっかけ:均一押しの区間を直線(三角形)で描いた図はダメ(本当はカーブ)。
3. 断面係数 と 許容曲げモーメント
代表問題:令和1年 No.8(長方形断面)
📘 これは何の問題?
「この断面の棒は、どれくらいの曲げまで耐えられるか」を求める問題。断面係数Z=“曲げに対する強さ”を表す数字で、背が高い断面ほど大きい(強い)。
覚える公式
🤔 なぜ高さは2回かけるの? 定規を立てると曲げにくくなる理由は2つある。①背が高いほど、曲げたときフチが大きく伸び縮みさせられる=強く抵抗する。②そのフチが中心から遠いので、テコが効いてよく踏ん張れる。高さは2つの理由で2回効くから h×h。÷6は「長方形」という形から数学的に決まるおまけの数字なので、理由ごと覚えなくてよい。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 図を見る:幅60mm・高さ100mmの長方形。曲げの軸に直角な向きの寸法(100mm)を“高さ”に使う。材料の強さ fb=9.46。
- Z(断面の強さ)を公式に当てはめる。
Z = 60 × 100 × 100 ÷ 6 = 100,000 mm³
- 耐えられる曲げM=材料の強さ×断面の強さ。
M = 9.46 × 100,000 = 946,000 = 9.46×10⁵ N・mm
答え:9.46×10⁵ N・mm
ひっかけ:幅と高さ(特に高さの向き)を取り違えない。
4. 断面二次モーメント
代表問題:令和3年 No.8(コの字断面)
📘 これは何の問題?
断面二次モーメントI=“曲げにくさ(かたさ)”を表す数字。これも背が高いほど大きい(高さを3回かける)。穴あきやコの字は「外側の四角」から「欠けた部分」を引く。
覚える公式
🤔 なぜ今度は3回かけるの? 「強さZ」の2回(フチの伸び×テコ)に加えて、「曲げにくさI」は断面のすべての場所の踏ん張りを足し合わせて評価する量なので、高さがもう1回効いて合計3回。細かい理屈にこだわるより「強さZは2乗÷6、かたさIは3乗÷12」とセットで覚えるのが実戦的。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 図を見る:右が開いたコの字。外側は幅4a×高さ6a、欠けは幅3a×高さ4a。
- 外側の四角のI。(6a)³=6a×6a×6a=216a³。
外側:4a × 216a³ ÷ 12 = 72a⁴
- 欠けた部分のI。(4a)³=64a³。
欠け:3a × 64a³ ÷ 12 = 16a⁴
- 引き算でコの字のIが出る。
I = 72a⁴ − 16a⁴ = 56a⁴
答え:56a⁴
ひっかけ:単位はaの4乗(a⁴)。欠けを引き忘れない。
5. 座屈荷重(細い柱がグニャッと曲がる限界)
代表問題:令和6年 No.11(両端固定の柱)
📘 これは何の問題?
座屈=細長い棒を上から押すと、ある力でいきなり横にグニャッと曲がる現象。その限界の力(座屈荷重)を求める問題。
覚える公式
🤔 なぜこの式になるの? 上(分子)は「棒の曲がりにくさ」=かたい材料(E大)×かたい断面(I大)ほど座屈しにくい。下(分母)は「自由に曲がれる長さ」。長い定規ほど軽い力でしなるうえ、長さの効きは強烈で2乗(長さ2倍→強さ1/4)。π²は理論計算から出てくる定数なので暗記でOK。留め方でLkが変わるのは、両端ガッチリ固定だと中央付近の半分しか自由に曲がれない(→0.5L)、先っぽが自由だとフラフラして2倍の長さの棒と同じ曲がり方になる(→2L)から。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 表を見る:両端ガッチリ固定。長さL=10m、I=3.0×10⁸mm⁴、E=2.0×10⁵N/mm²。
- 曲がれる長さLk:両端固定なので係数は0.5。
Lk = 0.5 × 10m = 5m = 5,000mm
- 分子(E×I)をまとめる。10どうしのかけ算は「右肩の数字を足す」(10⁵×10⁸=10¹³)。
E × I = 2.0×10⁵ × 3.0×10⁸ = 6.0×10¹³
- Pcrに当てはめる。5,000²=25,000,000=2.5×10⁷。10どうしの割り算は「右肩の数字を引く」(10¹³÷10⁷=10⁶)。
Pcr = π² × 6.0×10¹³ ÷ 2.5×10⁷
= π² × 2.4×10⁶ N = 2,400π² kN
答え:2,400π² kN
ひっかけ:座屈長さの係数を取り違えない ―― 両端固定=0.5/一端固定・他端ピン=0.7/両端ピン=1.0/一端固定・他端自由=2.0(柱の長さL×この係数=座屈長さLk)。固定が多いほど係数が小さく=Lkが短く=座屈しにくい(強い)。
6. 応力度(押す力+曲げる力)
代表問題:令和5年 No.8(柱の根元)
📘 これは何の問題?
柱を上から押し(P)ながら横からも押す(Q)と、柱の根元の“フチ”にかかる引っ張りの強さを求める問題。応力度=1mm²あたりにかかる力。
覚える公式
🤔 なぜ割り算と引き算? 応力度は「1mm²あたりの分担」。荷物を100人で持てば1人分は軽くなる——だから力÷面積。曲げはフチが一番つらい(一番伸ばされる)ので、曲げの強さMを断面の強さZで割るとフチの応力が出る。最後が引き算なのは、消しゴムを上から押しながら横に倒すイメージで、曲げで伸ばされているフチを、上からの押し(圧縮)が少しだけ縮めて打ち消してくれるから。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 図を見る:上からP=180kN、横からQ=15kN、高さ2m、断面300×200。
- 曲げの強さM=横の力×高さ。単位をN・mmにそろえる。
M = 15kN × 2m = 30kN・m = 30×10⁶ N・mm
- 断面の強さZ。横向きの力に抵抗する向きなので、300を“高さ”に使う。
Z = 200 × 300² ÷ 6 = 3,000,000 mm³
- 曲げの応力σM。
σM = 30×10⁶ ÷ 3×10⁶ = 10 N/mm²
- 押しの応力σN。180kN=180,000N、断面積=300×200=60,000mm²。
σN = 180,000 ÷ 60,000 = 3 N/mm²
- 引っ張り側のフチ=曲げから押しを引く。
σ = 10 − 3 = 7 N/mm²
答え:7 N/mm²
ひっかけ:引っ張り側は“足さずに引く”。
7. ネットワーク工程表
代表問題:平成28年 No.56(工程表)
📘 これは何の問題?
工事の作業の順番と日数を矢印でつないだ図。ある作業が「次の作業に迷惑をかけずに使える“ゆとり”(フリーフロート)」を求める問題。
覚える公式
🤔 なぜこの式になるの? リレーで「自分がゴールした日」から「次の走者が走り出す日」までの待ち時間が、そのまま“誰にも迷惑をかけずに使えるゆとり”だから。なお「一番早く始められる日」は、入ってくる矢印のうち一番遅い到着に合わせる——全員のバトンがそろわないと走り出せない。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 作業⑤→⑦のゆとりを調べる。
- 矢印をたどって、⑤を一番早く始められる日を出す:13日目。
- 「自分のゴール日」と「次の出発日」をくらべる。
自分のゴール = 13 + 4日 = 17日目
次(⑦から先)の出発 = 18日目
ゆとり = 18 − 17 = 1日
- 問題文の「2日」は誤り=これが答え。
答え:フリーフロート = 1日
ひっかけ:“一番早く始められる日”は、入ってくる道の中で一番遅いものに合わせる(全部そろわないと始められないから)。
8. 照度の計算(電球の明るさ)
代表問題:令和7年 No.2(点光源)
📘 これは何の問題?
電球(点光源)から、床のある点がどれくらい明るいか(照度=明るさ)を求める問題。
覚える公式
🤔 なぜ「距離の2乗」で割るの? 電球の光は風船をふくらませるように球状に広がる。距離が2倍になると、同じ量の光が「2×2=4倍」の広さに塗り広げられるので、明るさは1/4。広がる面積が2乗で増えるから、2乗で割る。×cosθは、ナナメに当たる光は同じ量でも床の広い範囲にダラッと伸びて薄まるぶんの“割引き係数”。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 図を見る:電球の高さH=3.0m、ナナメの角度θ=60°、光の強さI=1,800cd。
- ナナメの距離rを出す。cos60°=0.5(これは覚える:60°→0.5、30°→約0.87、45°→約0.71)。
cos60° = 高さ ÷ r → 0.5 = 3.0 ÷ r
r = 3.0 ÷ 0.5 = 6.0m
- 公式に当てはめる。“高さ3.0m”ではなく“ナナメの距離6.0m”を使うのがポイント。
Eh = 1,800 × 0.5 ÷ (6×6) = 900 ÷ 36 = 25 lx
答え:25 lx
ひっかけ:高さをそのまま距離に使わない(ナナメの距離を使う)。×cosθを忘れない。
9. 熱貫流率(壁の熱の通しやすさ)
代表問題:令和6年 No.2(RC壁)
📘 これは何の問題?
壁がどれくらい熱を通しやすいか(熱貫流率U)を求める問題。Uが大きいほど熱が逃げやすい(=寒い/暑い)。
覚える公式
熱貫流率 U = 1 ÷(各層の“熱の通りにくさ R”の合計)
🗣️ ことばで言うと:服を何枚も重ねると暖かいのと同じで、壁の“熱の通りにくさ(抵抗R)”は層ごとに足し算で増える。Uはその合計の逆(通りやすさ)なので、最後に1÷で逆数にする。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 図を見る:通りにくさが層ごとに与えられる。室内側0.111+コンクリート0.094+室外側0.043。
- 全部足す:R=0.111+0.094+0.043=0.248。
- 逆数にする:U=1÷0.248=約4.0 W/(m²·K)。
答え:約 4.0 W/(m²·K)
ひっかけ:足した“通りにくさ”の逆数にする(足して終わりにしない)。
10. (保険)トラス
📘 これは何の問題?
トラス=三角形をたくさん組み合わせた骨組み。各棒が“引っ張られている/押されている”力(軸力)を求める。過去10年では出ていないが、範囲なので形だけ知っておく。
覚える公式
節点法:1つのつなぎ目で 上下=0・左右=0(2式)
切断法:棒を切って、片側だけでシーソー(モーメント=0)
🗣️ ことばで言うと:つなぎ目(節点)に集まる力は上下・左右でつり合う=そこから2本ぶん分かる(節点法)。または棒を切って片側だけでシーソー計算すると、1本を一気に出せる(切断法)。
解き方(やさしく1ステップずつ)
- 過去10年(H28〜R7)では未出。構造力学の範囲なので形だけ押さえる。
- 節点法:未知が2本以下のつなぎ目を選び、縦と横のつり合いで解く。ナナメの棒は角度でタテ・ヨコに分ける。
- 切断法:求めたい棒を含めて3本以下で切り、片側だけでモーメントのつり合いを取る。
答え:(公式の形だけ覚えておけば対応可)
ひっかけ:引っ張り(+)・押し(−)の符号。ナナメの棒は角度の分解を忘れない。
解く前のチェックリスト(図形問題)
- 支点は何か(ピン△/ローラー○/固定)。関節(ヒンジ○)はどこか。
- 図の寸法・荷重・向きを問題文と見くらべる(斜めの線か、横の距離か)。
- 単位をそろえる(m↔mm、kN↔N)。
- 出た答えを図に戻して“向き・大きさが自然か”たしかめる。